横浜の歴史感じるクラシックホテル「ホテルニューグランド」に宿泊
7月半ば、GoToトラベルキャンペーンが始まりました。
ホテル市場は需給のバランスが崩壊しており既にセール状態でしたが、キャンペーンでさらにお得に利用できることになりました。
ビジネスホテルから高級ホテルまでかなりお安くなっています。
乗るか?この波…
とは言っても、時節柄、広範囲におよぶ移動は避けたいところ。
筆者の地元神奈川にもたくさんのホテルがあり、その殆どがコロナ禍による打撃を受けています。
「じゃあ地元に泊まれば?」
誰が言ったか言わないか。
ふむ。移動を抑えて気分転換しつつ、地元経済に寄与できるな(超~~~~微力!!)!
という超~浅い考えで、普段利用する機会のない、「地元のちょっと良いホテル」に予約をとることにしました。
横浜山下町の「ホテルニューグランド」。戦前のホテル黎明期に建設され、長い歴史を持つ、所謂「クラシックホテル」です。
横浜は、船が日本と外国との往来の主流であったころ、その玄関口として多くの渡航者が足を踏み下ろした場所です。
この山下町界隈も、渡航者むけホテルが多く軒を連ね、貿易で潤う横浜の中心地のひとつとして、たいへん華やかな街でした。
国内最大の高級ホテルとして隆盛を極めた「グランドホテル」もこの街にあり、横浜の栄華を牽引するランドマークとしてその名を轟かせたそうです。
しかし、大正12年に襲った関東大震災は、この街もろとも横浜を無残な瓦礫の街と化し、地元経済に停滞をもたらしました。
震災後に設置された渡航者向け仮設宿泊所は「テントホテル」と揶揄されるほど無残なものであったそうで、横浜に国際都市としての賑わいと誇りを取り戻すため、外国人向けホテルの建設はかなりの優先度で復興計画に織り込まれたそうです。
ホテルニューグランドは、政財界そして市民の期待を受け、震災復興のシンボルとして、震災4年後の昭和2年に産声をあげました。
公募で決められたと言われているホテル名をとっても、「あのグランドホテルの栄華をもう一度」という市民の願いを象徴しているといえるでしょう。
開業後、国内外のVIPを迎賓し、名高い評価を得たホテルニューグランドは、震災の瓦礫を埋め立ててつくられた山下公園を正面に、横浜大空襲の戦火を耐え※、いまでも横浜港のそばに佇んでいます。
※米軍が進駐後の利用を見越して爆撃しなかったという説もあります。
前置きが長くなりましたが、入っていきます。
ホテルニューグランドは、開業時からある本館と、平成になって建てられたタワー館の二棟からなっています。
チェックインは、新しいほうのタワー館ロビーで行います。
タワー館
1Fロビーでチェックインすると、ホテルマンが部屋まで案内してくれます。
本館の部屋をとったので、連絡通路で本館に移動。エレベータで上階客室フロアへ行きます。
エレベータ
部屋に入り、簡単な説明を受け、ホテルマンから鍵を受け取ります。
キーホルダー。使い込まれた真鍮の風合いが可愛い
部屋の様子です。
ヨーロピアンモダン(って言うんですかね)にオリエンタルな味付けを感じます。
鏡付きの黒いクローゼットの中に、洋服掛けや、テレビ・金庫・冷蔵庫が収納されています。
延長コードが地味に嬉しい
宿泊したのは、33.5㎡のグランドデラックスツイン。
より上位の部屋にスイートタイプの「グランドスイート」「マッカーサーズスイート」があり、最上位のマッカーサーズスイート(標準価格24万円!)は、ダグラス・マッカーサー元帥が宿泊したことからその名がついています。
終戦直後の1945年8月30日、厚木飛行場に降り立ち、サングラスに咥えパイプで登場したマッカーサーの姿はあまりに有名ですが、マッカーサーは、声明文朗読の後まっすぐにホテルニューグランドを目指したそうです。
マッカーサーは1937年にもホテルニューグランドに宿泊しており、その際は新婚旅行だったそうです。新妻と訪れた思い出の地に、今度は占領軍の最高司令官として足を踏み入れることになったわけですね。
このへんの歴史については本館1Fレストラン近くにちょっとしたコーナーが設けられているので、機会があったらぜひご覧ください。レストランやカフェは宿泊客でなくても利用できます。
窓からの景色です。
本館は地上5階建てで、3~5階が客室(5階はスイート専用?)となっています。
筆者が宿泊したのは3階ですが、山下公園を囲む植栽がちょうど視界を遮って…(;^_^
タワー館は18建てなので、港の風景やみなとみらいの夜景を楽しみたい方はタワー館への宿泊がおすすめです。
バスルームです。
写っていませんが、洗面台の奥に洋便器があります。
浴槽は足をのばしてゆったり入れる大きさです。
シャワーブースが別にあるのが嬉しいですね。
よく手入れされていて清潔感があります。
アメニティはホテルオリジナル。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープと基本的なものは勿論、ボディミルク、シェービングフォーム、ヘアオイルもありました。
フロントに言えばクレンジングやヘアトニックもあるようです。
ウェルカムドリンクとしてフリーのミネラルウォーター。
食事はレストランに行かず、1F軽食喫茶「ザ・カフェ」で済ませました。
ドリア、ナポリタン、プリンアラモード。
今では一般的なメニューですが、これらはホテルニューグランドから発祥したという説があります。
ドリア:ある時滞在していた外国人銀行家から「体調がよくないのでのど越しの良いものを」と要望され、初代総料理長が即興で創作したという説。
ナポリタン:米兵らが軍用保存食のスパゲッティにケチャップを和えて食べているのを見た※二代目総料理長が、ホテルで出すにふさわしいものにするため、苦心の改良を重ね、名付けたものという説。
プリンアラモード:ホテルで生活する将校やその家族を、見た目にもボリュームにも満足させるために考案されたものだという説。
※ホテルニューグランドは戦後GHQの将校宿舎として接収された 。
レストランでの食事も良いですが、歴史に思いを馳せながら、伝統を舌で堪能するものおすすめです。
長々と能書きを述べましたが、気になるお味も当然ヨシ!とっても美味しかった!
特にドリアにはガチの海老(軽食のエビドリアにありがちな海老じゃないんですよ)がゴロゴロ入っていて、もうめちゃくちゃ旨かった。本気を感じました。
食後は中庭で少し休憩。
その後、本館2階の旧ロビーを見学しました。
大階段で2階に上がっていきます。このホテルの名物です。
年季を感じさせるカーペット敷きの階段と、眼前の美麗装飾の荘厳に圧倒されます。
本館は、銀座和光や上野の東京国立博物館などを設計した建築家 渡辺仁が手掛けたもので、経済産業省認定の近代産業遺産、また、横浜市認定歴史的建造物です。
西洋のアールデコをベースに、細部に東洋的な印象を配しています。
映画「有頂天ホテル」やドラマ「華麗なる一族」、バンド東京事変のPV撮影などに使われたそうです。
ホテルを出て山下公園を散歩しました。
この界隈にはよく来ますが、今宵は此処に宿をとっているのだと思うと、いつもと違った趣です。
「へえ、君、こんな一面も持ってるんだね…」
ホテルに戻り、バー「シーガーディアンⅡ」で一杯やることにしました。
前身となる「シーガーディアン」には、このホテルを執筆の場として常宿にしていた作家 大佛次郎が、毎日のように訪れたそうです。
彼が10年間逗留していた318号室は、代表作「鞍馬天狗」から「天狗の間」と呼ばれているそうな。
他にもサザンオールスターズの歌詞に登場したり色々あるようです。
カクテル「ヨコハマ」
一杯のつもりが、二杯、三杯…
居心地が良いのでつい長居してしまいますね~。長っ尻の言い訳!
ウィスキー・ソーダを二杯とカクテル一杯、それとちょっとしたつまみで5千円ぐらいだったような記憶。
今宵はこの辺で…。
めっちゃいい天気
翌朝は、タワー館5Fのレストラン「ル・ノルマンディ」で朝食です。
窓からみなとみらいの高層ビル群が見えますね。
左側に写りこんでいる赤茶色の建物は某価学会の施設の一部です。
たしか、「普段はブッフェスタイルだが時節柄当面はこういうスタイルである」と説明された気がします。
卵(調理法を選択)、加工肉(種類を選択)、果物ジュース(種類を選択)、ヨーグルト、サラダ、パン(デニッシュ、シナモンロール、バターロール、マンゴーロールでした。日替わりかな?)、コーヒーor紅茶のコースです。
普段朝食を摂らない筆者には少々重く、途中でギブアップしそうになりました。
料理のクオリティが高く、パンはおかわりできるので、朝からガッツリ食べたい人には良いと思います。
朝食をすませた後は、チェックアウト。
名残惜しいですね~。ぜひまた来たいと思うホテルです。
今度はタワー館に泊まってみたい。
フロントにてキーホルダーを販売していた
買っちゃった。
使い込んで、ホテルキーについていた、あのキーホルダーのようにしたいな。